‘年金の本’ カテゴリーのアーカイブ

年金2000万円不足問題| 基礎知識がないとマスコミに踊らされるだけ

2019年7月10日 水曜日

年金だけでは老後資金が2000万円不足するというレポートが一部で話題になっているようです。結構、不安を感じている人もいるようですね。

でも、不安に感じている人の多くが、年金制度の実態を知らないでマスコミや一部政治家に踊らされているだけなのかもしれません。ちょうど選挙の時期ですしね。

まあ、年金プラスアルファで老後資金を準備すること辞退は悪いことではありません。でも、だからといって、必要以上に不安になることもないでしょう。

何が問題かわからず不安だけ感じる人多数

参院選を直前に控えた時期だからでしょうか。年金2000万円不足問題がにわかに盛り上がっています。

私個人としては、「年金の基礎知識すらない人が多いんだな」というものでした。SNSの反応などを見ていると、この問題で足を引っ張りたい一部マスコミと野党の思惑に、まんまと乗せられている人も多いようなのです。

そこで、多くの人が疑問に思いそうなことを短くまとめ、その後で詳しく説明したいと思います。

Q.年金だけでは足りなくなるって本当?

年金だけでは生活できないって本当でしょうか。

A.人によります

これに関しては、人によるとしか言いようがありません。ですから、2000万円足りないなどと大雑把に言われても、私には全く理解ができません。

例えば、自宅を持っている人だったらどうでしょう。仮に金融資産が多くなくても、年金だけで生活できる人が多いのではないでしょうか。

家賃がいらない分、月々の生活コストは下がります。となると、将来的に年金額がかなり減らされても、十分対処できるはずなのです。

逆に、今の仕組みだって、足りない人は足りないですよね。

Q.日本の公的年金は100年安心なのか?

今回の件に便乗して、年金制度が破綻するなどと言い出す人も出始めました。まあ、年金が問題になると、必ず破綻を言い出す人は居るようですけどね。

それとは逆に、政府は、日本の公的年金は100年安心といいます。一体どっちが正しいのでしょうか。

A.そもそも破綻って何?

年金制度が破綻すると言われると、なんだか不安になる人もいるでしょう。でも、破綻するって、一体どんな状態なのでしょうか。

将来的に、給付が全く行えなくなる事を指すのでしょうか。あるいは、そこまで行かなくても、現在の半分以下に給付が減ると言いたいのでしょうか。

破綻をすると言うのなら、まずそこを明確にしないといけません。破綻に関する明確な定義を出していない以上、破綻するという人の主張は、聞く価値すらないと考えます。

議論のしようがありませんからね。

ただ、現行通りの給付が続くかというと、それは無理でしょう。日本の年金制度の構造から言って、若い人の割合が減った場合は「保険料を増やす」「年金の給付を減らす」のどちらかの選択肢しかないからです。

率直に言って、これ以上保険料を増やすのは無理です。となると、給付の開始を遅らせるか給付額を減らすしかありません。1割減るのか2割減るのかはわかりませんが。

この意味では、安心と言い切れないでしょう。ただ、「破綻=給付不能」「破綻=年金額が半減」ということなら、制度として破綻する可能性は、かなり小さいと考えていいはずです。

Q.年金額が少なすぎる

将来の2000万円不足という問題以前に、現行の年金額が少なすぎるという不満もあるようです。

A.保険料も少ないから仕方がない

これに関しては、たしかにその通り。年金額は少なすぎます。

でも、日本の年金制度は保険の仕組みでできています。保険というのはどういうことかというと、支払われた保険料が給付にまわっているのです。

一部、税金の補助もありますけどね。あと、運用で増やしてる部分とか。企業の負担もありますね。

ただ、まあ、基本的には、もらった保険料を給付にまわす仕組みなのです。ということは、年金額を増やしたければ、保険料を増やすしかありません。

これが基本的な関係です。いま年金が少ないとすれば、支払っている保険料が少ない事になります。

例えば、国民年金の保険料は、月々1万6000円程度です。この程度の保険料しか払っていないのに、老後に月20万円ももらえるとしたら、かなりおかしな話になるはずですよね。

実際の保険料と年金額の関係は、身近なところでは、定期的に送られてくる「ねんきん定期便」をみると分かるようです。これまでに支払った保険料と、将来的に受け取る年金の額がわかります。

もちろん、日本年金機構のサイトなどで、年金制度全体の収支を確認することも出来ます。

こういった資料をちゃんと見ると、文句をいうのが難しくなるでしょう。払った分と貰う分の関係が、明確になりますから。

しかも税金などの上乗せがある分、実は払った以上にもらえる可能性が大きいのです。

ということで、言っては悪いですが、給付が少なすぎるというのは無責任な批判のたぐいです。

年金2000万円不足という表現は雑すぎる

2000万円不足問題に関する感想を少し。

日本の年金制度は、大雑把に言うと、現役世代の保険料を高齢者に渡すという仕組みです。ということは、少子高齢化で現役世代の割合が減ると、高齢者に渡せるお金も減ることになります。

現在の少子高齢化の流れを考えると、将来の年金額は減ることになります。少子高齢化というのは、収入が減って支出が増えるわけですから、制度を維持するには当然ですよね。

現在の水準よりも年金が減るわけですから、将来ある程度不足するというのはそのとおりでしょう。そのための準備もしたらいいと思います。

不足するかどうかは、個人の生活水準にも依存

でも、2000万円と金額を明示することには、強い違和感を感じます。というのも、受け取る年金の額がどうなるかは、世代によって異なるからです。

少子高齢化で年金額が減るのであれば、一気に減るわけではありませんよね。となれば、現在60歳の人と現在30歳の人では、影響の大きさは全く違うのです。

その上、現在30歳の人には、物価の影響もあるでしょう。30年で物価が2倍になったら、4000万円不足したなんてことも無くはありません。

更にいうと、生活水準って、人によって全然違いますよね。となれば、必要な金額にも相当の開きがあるはずです。

現役世代だって、年収400万円の家庭と800万円の家庭では生活費の額はぜんぜん違うはずです。それを無視して、一律に2000万円不足していると煽るのは、ちょっと問題だと言わざるを得ません。

まあ、選挙が近いですからね。具体的な数字で政府を攻撃したいのでしょう。

それにしても、2000万円という金額を出してくるのは、雑すぎる議論としか言いようがありません。

現役時代の働き方で年金額も違う

更に、現役時代の働き方で、年金額も全然違います。

例えば、夫婦で会社員をやっていた家庭の場合、夫婦ともに厚生年金をもらうことができます。これに対して、独身で自営業の場合、国民年金しかもらえません。

この場合、受け取る年金額は数倍違うのです。

そもそも年金だけでは足りない

そもそも年金制度というのは、これだけでゆとりがある生活が送れるというたぐいのものではありません。というのも、モデルにした世帯の年金額が、現役世代の男性の年収の6割程度になるように設計されているからです。1

ちなみに、モデルにしている世帯というのは、男性は40年間サラリーマンで女性はずっと専業主婦というものです。ということは、途中で男性が自営業をしていたりすると、現役世代の6割の年金をもらうことができないわけですね。

モデルになっているのは、あくまで一つのケースに過ぎません。ということは、当然ですが、現役世代の男性の6割という年金をもらえない世帯が今でも多いのです。

今と大きな違いはありません

そういう場合は、今でもなんとか自分で対処するしかないわけです。具体的には、現役のときに貯めておくか、年金をもらえる年齢になっても働き続けるかです。

将来的な年金額と現役世代の収入の比率は、今の水準よりも下がることになるでしょう。とはいえ、足りない部分は自分で補うというスタイルは、特に変わるわけではありません。

老後にある程度ゆとりを持った暮らしをしたければ、お金を貯めておきましょう。そう思うきっかけになったのなら、2000万円不足問題にも多少は有るのかもしれません。


  1. 所得代替率といいます []

積立をするとどのくらい増える| 年金終価係数表を利用しましょう

2019年4月20日 土曜日

iDeCo を利用すると、毎月一定額を積み立てることができる上に、リスク資産で運用することも可能です。しかも節税ができるわけですから、非常に優れた仕組みと言っていいでしょう。

ただ、リスク資産で運用した場合、最終的にどの程度に増えるのか少し予想しづらいですね。例えば毎月1万円を30年積み立てた場合、運用利回りが3%だったら、どの程度まで増えるのでしょうか。

実は、これを知るための、優れたツールがあるのです。

(さらに…)

いまからでも遅くはない!かしこい年金生活

2010年6月13日 日曜日

いまからでも遅くはない!かしこい年金生活 (スマート家庭経営術)

日経新聞社による年金についての一般向けの解説書です。

そして、とても日経新聞らしい本だと思いました。

(さらに…)

増やせる年金カンタン計算

2010年6月9日 水曜日

増やせる年金カンタン計算―最新版!!年金は自分で守る!計算すれば、不安は自信に変わる

一般向けの年金の解説書です。

国の年金を元に、老後の計画を立てるときに役に立つ本だと思います。

30代後半から40代ぐらいの人が、将来の事を考えて手に取ると良い本だといえるのではないでしょうか。

複雑な解説は少なくし、具体的にいくらもらえるかという点にしぼっているという意味では実践的な本だと思います。

(さらに…)