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公的年金は年金の給付額が決まっていない| 個人年金保険以下なの?

年金に対する批判で時々耳にするのが、「給付額が事前に決まっていないのはけしからん」というものです。

生命保険会社の個人年金保険なら、最初から年金額は決まっている。公的年金は、生命保険会社が出来る程度のこともやれないのかという批判をする人がいます。

一見もっともな批判のように思えます。でも、ちゃんと勉強してみると、かなり荒唐無稽な主張をしている事が分かるでしょう。

何十年後の年金額なんて、実は、決まっていない方が良いのです。

日本の公的年金は生保の個人年金保険以下?

公的年金に対する批判で時々耳にするのが、「具体的な年金の金額が決まっていないのはけしからん」というものです。もうちょっと細かく言うと、次のように批判していました。

生命保険会社の個人年金保険ですら、給付額を契約段階で決定できる。それすら出来ない日本の年金は何をやっているんだ。

どちらかと言うと左寄りに見えるテレビ局の番組で、政治家を呼んで吊し上げのような事をやっていました。かなり昔の話ですけど。

ただ、一般の人がこのマスコミの主張を聞いたら、共感する人も多いようにも思います。具体的な年金額を事前に約束できる生命保険会社の制度は、優れた制度に見えるのでしょう。

実際、金額が決まっていることにメリットを感じて、個人年金保険は変額タイプよりも定額タイプのほうが人気が有るわけですしね。

ただ、分かっている人からしたら、ただの勉強不足なんですよね。率直に言って、年金額が決まっていることは、デメリットの方が大きいのです。

個人年金保険程度なら多少問題がある商品でも、大きな影響はないんですけどね。国の年金でそんなことをやってしまうと、

具体的な金額を決めるデメリット

繰り返しますが、具体的な年金の給付額を最初に提示しておくのは、実は弊害のほうが大きいのです。少し具体的に考えてみましょう。

例えば、「将来は1年で100万円の年金を給付する」という感じで、将来の給付金額が分かっていたとします。現在45歳の人なら、20年後から年間100万円を受給することになるわけです。

物価の水準が全く変わらないのであれば、年間100万円というのはそれほど悪い話では無いかもしれません。月8万円くらいにはなりますから、家賃を除いた部分の最低限の生活費くらいにはなります。

でも、一般的には、物価というのは少しずつ上っていくはずです。国によっては、かなり大きく物価が上がることもあります。

20年後の100万円は今何円の価値がある

この物価上昇が問題なのです。将来の100万円は、現在の価値になおすともっと小さい価値しかありません。仮に毎年1%、3%、5%物価が上がった時に、20年後の100万円は、現在の価値にするといくらの価値が有るのか計算してみましょう。

簡単な掲載をすると、それぞれ以下のような価値しか無いことがわかります。

1%物価上昇したケース:81万7906円
3%物価上昇したケース:54万3794円
5%物価上昇したケース:35万8485円

3%物価が上がり続けると、現在価値にすると半分程度しか無いのです。5%の物価上昇だと、さらに悲惨です。

毎年3%とか5%物価が上昇するなんて、荒唐無稽だと思う人もいるかもしれません。しかし、先進国の水準でも3%程度の物価上昇なら珍しいことではありません。

実際、日本政府もその程度のインフレ目標をおいていますからね。現在のところは、なかなか達成できていませんが。少なくとも、荒唐無稽な数字とは言えないでしょう。

平均して5%のインフレだって、歴史的に見れば十分にあり得ます。ここ数年のデフレ傾向に慣れてしまった人には、ちょっと想像がつきにくいでしょうけどね。

何にしても、常識的な物価上昇が有るだけでも、将来の給付は実質的には半分の価値しか持たなくなるわけです。

若い人だとさらに悲惨

これが若い人だと、さらに悲惨です。

現在35歳と現在25歳の人に、同じく65歳で100万円と約束していたとしましょう。この場合、彼らが受け取る100万円は、次のようになってしまいます。

●現在35歳の人の場合

1%物価上昇したケース:73万9700円
3%物価上昇したケース:40万1007円
5%物価上昇したケース:21万4638円

●現在25歳の人の場合

1%物価上昇したケース:66万8971円
3%物価上昇したケース:29万5712円
5%物価上昇したケース:12万8512円

1%の物価上昇でも、現在価値は4分の3とか3分の2程度しかありません。

こんな年金額だと、今約束されたって嬉しくも何とも無いですよね。つまり、インフレの可能性を考慮すると、給付額を早めに約束するのは害悪でしか無いわけです。

構造的に将来の給付額を明示するのが難しい

公的年金の仕組みには、生保の個人年金のように、明示的に給付額を決めておくのが難しいという問題もあります。一見似ているようでも、構造がぜんぜん違うので、同じことが出来ないのです。

日本の公的年金制度では、賦課方式という仕組みを採用しています。この方法だと、構造的に将来の給付額を明示するのが難しいのです。

個人年金保険は積立型の投資商品

まず、生命保険会社の個人年金は、契約者からお金を集め、それを運用して増やすというタイプの商品です。いわば、積み立て商品ですね。

一応は保険なので、単純に積立てるだけでなく、多少難しいこともやっているのですけどね。例えば、被保険者(将来年金をもらうはずの人)が途中で亡くなる場合などの考慮などをして設計されています。

ただ、原則としては、運用する利率が最初から決まっている積み立て型の投資商品です。コツコツお金を貯めて、それを運用して増やすということをしています。

公的年金は自転車操業

これに対して公的年金制度というのは、お金を積み立てているわけではありません。基本的には、保険料として入ってきた分は、その年の年金の給付に回してしまうのです。

ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、公的年金では、全く運用をしていないというわけでは無いのですけどね。年金積立金という仕組みがあって、一部は運用をしています。

ただ、今年の保険料の大部分は、今年の年金給付に使われてしまうのです。ですから、一部を除いて、生保の個人年金保険のような積立てて運用という形はとっていません。

入ってきたお金をそのまま配っているわけで、いわば自転車操業の状態なわけです。

公的年金では仕方がない

これは、公的な年金制度だと積立てる事が出来ないという事情もあります。

日本で公的年金を積立方式で運営したとすると、年金積立金の額は、ざっくり計算して数百兆円から千数百兆円程度の金額になります。そこまで大きくなると、運用に使える金融商品が存在しないのです。

例えば、日本の株式市場は「6兆1700億ドル」1 といいますから、年金の積立金だけで日本の株式市場を全て買えてしまう水準なのです。あるいは、日本の国債が全て買えるよ水準とも言えますね。

そんな大きなお金を、どこで運用したら良いのでしょうか。ちょっと思い浮かびません。

現在の年金積立金の150兆円前後という金額でも、運用するには大きすぎると言われる事があります。日本の公的年金を積立方式にしたら、サイズが大きすぎてまともな運用は難しいでしょう。

もちろん、今から積立方式に変更することなんて不可能ですけどね。仮に積み立て方式だったとしたら、今以上に大きな問題があるわけです。

給付額は事前に分からないのは当然出し、その方が良い

以上のような理由で、公的年金の給付額が事前にわからないのは当然なのです。

例えば数年後に受給を開始するというレベルなら、おおよその額はわかりますけどね。10年以上先立った有りすると、インフレの可能性があり、うかつなことは言えないはずです。

また、積立型に出来ないという構造上の問題もありますから、その意味でも給付額を決めておくのは困難です。

そして、インフレの可能性が有ることを考えたら、事前に金額なんて決めないほうが良いのです。もらってみたら、思ったほどの価値がななったなんていうことにもなりますから。


  1. 株式市場の規模、日本が時価総額で世界2位に 中国陥落、景気鈍化響き座を明け渡す
    SankeiBiz 2018.8.4 05:58 []

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