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【国民年金の未納って】どのくらい大きな問題なの?

最近はあまり騒がれませんが、一時期、「国民年金未納者が多くて公的年金が破綻する」とマスコミが騒いでいました。その結果、国民年金の保険料の未納率が増えたりして、かなり大変だったようです。マスコミが騒いだせいで未納が増えるという、悪循環だった記憶があります。

でも、国民年金の未納って、どれくらい大きな問題なのでしょうか。冷静に考えてみると、どうやら、破綻につながるような話では無さそうです。

年金未納は大問題って本当ですか?

1年に1度くらいのペースで、国民年金の未納が問題になります。国民年金の納付率が6割などと聞くと、かなり大きな問題だという印象を受ける人もいるでしょう。

ちなみに、一番ひどい時期には、6割を切る水準でした。それが最近では、6割台中盤くらいまでには回復しているようです。例えば2016年度には、65%まで改善しています。1

とは言え、それでも3割以上の人が未納ということです。やっぱり印象が悪いのは間違いありませんね。

制度が維持できないような問題なの?

国民年金の未納は、たしかに問題であるのは事実です。無年金者が生まれるので、生活保護などの行政の負担が大きくなる可能性があるからです。

行政の負担というのは、私たちの税金ですからね。年金の保険料を払わない人を養うような形になるわけで、道義的に問題が有るのは間違いありません。

ただ、率直に言って、一部マスコミの人たちが大騒ぎするような話でも無いのです。マスコミの人たちは、「年金制度が破綻するー」みたいな騒ぎ方をしますよね。

でも、そういうことは、基本的には考えられません。もっと、限定的な問題と言って良いでしょう。

マスコミが政権批判に使っているだけに見える

ですから、何であんなニュースになるのか、理解できないというのが素直な感想です。

マスコミが十分理解していないのかもしれません。政権批判に使いたいのかもしれません。

あるいは、大きなニュースに見せかけた方が、テレビや新聞といてはお得なのかもしれません。視聴率を稼ぐには、刺激的なニュースのほうが良いでしょうからね。

とにかく、その程度の話であると言っていいでしょう。

それでは、なんで6割しか納付が無いのに、そんなに大きな問題でないと言えるのでしょうか。ちょっと確認してみましょう。

この問題を理解するには、まず、公的年金には国民年金と厚生年金があることを理解する必要があります。

国民年金は、20歳以上60歳未満の人が、みんな入って保険料を納める年金ですね。老齢年金を貰えるのは、65歳になってからです。

一方の厚生年金は、会社勤めの人が入る年金です。保険料は給与から天引きされます。老齢年金が貰えるのは、国民年金と同様、65歳からです。

厚生年金の被保険者は国民年金の保険料を払わない

このような仕組みなので、国民年金の納付率が6割台と聞くと、20歳から60歳の人の6割しか保険料を納めていないのだと思ってしまいますよね。ということは、逆に言うと、何千万人もの人が未納であるような印象を受けます。

でも、実はそうではないのです。

厚生年金に入っている人は、そもそも国民年金の保険料を納める必要はありません。彼らは第2号被保険者と呼ばれ、厚生年金の保険料を納めているだけなのです。

これは、厚生年金の保険料に国民年金の分が入っていると考えても良いでしょう。ただ、統計上は、国民年金の保険料の納付にはカウントされません。

ですから、納付率が6割と言うのは、少なくとも20歳から60歳までの会社員以外の人の話なのです。これで話がずいぶん小さくなりました。

会社員の妻の多くも保険料を払っていない

さらに、厚生年金を納めている会社員の配偶者(妻または夫)で、収入が一定以下の人は、国民年金の保険料を納める必要がありません。第3号被保険者と呼ばれ、保険料の納付を免除されるのです。

ということは、6割の納付うんうんと言う話は、20歳から60歳の人全体の話ではなかったわけですね。日本人の20歳から60歳の人数から、会社員と会社員の妻の数をひきます。この差分のうちの3割台が未納という話だったわけです。

新聞やテレビの報道を見ると、一見、国民全体の話に見えてしまいますよね。でも実際には、ほんの一部の人の話なのです。

もちろん、国全体の話なので、一部と言っても結構な数ではあります。それでも、制度全体を揺るがすような話とは言えないのです。

具体的な数字で確認してみましょう

それでは、具体的な数で確認してみましょう。

国民年金の保険料の未納者数はどの程度の数なのでしょうか。厚生労働省の統計から確認してみましょう。

「平成26年国民年金被保険者実態調査」というドキュメントによると、平成26年に本来は国民年金の保険料を納めるべきだった人は、約1,594万7000人いたそうです。このうち、納付していたのが749万7000人で、滞納していたのが368万4000人でした。

残りは何かというと、国民年金の保険料を免除されていた人たちです。もうちょっと細かく書くと、申請全額免除者が250万7000人、学生納付特例者が179万4000人 、若年者納付猶予者が46万4000人でした。

大きい問題だが対処可能

つまり、国民年金の保険料を納めないという問題は、日本人1億2000万人のうちの749万人の問題に過ぎないわけです。国全体の話なので数字こそ大きいですが、割合から考えたらそれほど大騒ぎするような話ではありません。

少なくとも、3割が未納とか4割が未納なんていうタイトルから受けるイメージとはだいぶ違うでしょう。

もちろん、無視できるほど小さい数字だという気はありません。対処が必要な問題ではあります。

マスコミは騒ぎたいだけ?

でも、マスコミの騒ぎ方もかなり異常だと思わざるを得ないわけです。年金制度が完全に壊れたかのような報道をしますからね。

なんだか、社会不安をあおっているだけのように見えるんですよね。何か意図が有って騒いでいるのでしょうか。

個人的には、どうしても、政権批判につなげたいだけという印象があるんですよね。

国民年金の未納問題はマスコミのせい?

ちなみに、年金の納付率の低下にマスコミが一役買っているのは、ほぼ間違いないと思っています。

マスコミの皆さんは、日本の年金が破綻するというニュースを繰り返し流しました。それを真に受けた人が、保険料を納付していないというケースも多そうなのです。

私個人としては、今回書いたような話を知っているので、与太話のたぐいだと聞き流す事が出来ました。でも、年金の仕組みを知らない人からしたら「3割未納」とか「4割未納」という数字が、一人歩きをするわけです。

その結果、本気で信じている人も結構多いようなのです。最近は、マスコミによる年金問題の取り扱いは大きくないようですが、ネットなどを見ていると、未だに信じて疑っていない人が結構いて驚きます。

マスコミも罪作りですね。特に、第一号被保険者の人で、保険料を払えるお金があるのに保険料を納めない人を作っているのは最悪です。

未納者が多いと年金の制度が維持できないも嘘

あ、マスコミ情報には、年金未納に関して、もう一つ大きな嘘があります。大事な事なので、これもご紹介しておきましょう。

どんな嘘かと言うと、未納者が増えると年金制度が維持できないというものです。実は全くそんなことはなく、現在の水準程度の未納者がいても、年金制度には全く問題はありません。

理由は簡単で、年金の保険料を払っていない人は、将来に年金を受け取ることが出来ないからです。

公的年金制度全体から見れば、お金が入ってこない代わりにお金が出ていかないわけです。結局、トータルとしては問題はありません。

ということは、保険料を払わない人が多いと制度が維持できないというのは嘘です。

多くの人が突然保険料を払わなくなったら多少は問題かも

一つ心配なのは、保険料を払わない人がいると、現在の年金給付にまわす財源が不足するという可能性でしょうか。

繰り返しますが、現役世代の保険料を、そのまま給付に回すのが年金の仕組みです。ということは、保険料の未納者が多いと、給付に回すお金が無くなってしまいます。

でも、これに関しても、すぐに問題になるような事はありません。というのも、日本の年金には、年金積立金というバッファがあるからです。

「17年度末の積立金は164兆円2 」ということですから、当座の年金給付のお金が足りなくなるという事は考えられないわけです。

さらに、厚生年金の保険料も老齢基礎年金(国民年金の老齢年金)の給付に回りますからね。仮に国民年金の納付者が突然保険料を納めなくなっても、なんとかなるわけです。

つまり、短期的に見ても、長期的に見ても、保険料未納者がいることは年金制度に大きな問題を与えないわけです。

破綻を心配する前に最低限の理解を

国民年金が破綻すると騒ぐ人は、とりあえずこの程度のことは理解しておいてほしいものです。これを踏まえた上でまだ破綻するというのでしたら、それはそれで聞くべき価値の有る意見でしょう。

でも、いま巷に溢れている年金の破綻論は、率直に言って、かなりずさんなんですよね。年金制度に問題が有ることは否定しませんが、はっきり言って、破綻はちょっと言いすぎです。

  1. 国民年金納付率65% 16年度、実質は40.5%
    日経新聞 2017/6/30 20:22 []
  2. 総額164兆円 公的年金の積立金って何?
    財源不足を穴埋め
    NIKKEI STYLE 2018/9/22 []

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