iDeCo には主婦も入ることが出来るようになりました。しかし、一部には、主婦はiDeCo に入らない方が良いという意見もあるようです。
主婦のiDeCo 加入に関しては、どう考えるべきなのでしょうか。やっぱり、主婦は避けておいた方が良いのでしょうか。
Contents
主婦もiDeCo に入れるようになりました
2017年の改正で、いわゆる主婦もiDeCo(個人型の確定拠出年金)に入ることが出来るようになりました。一部のサラリーマンを除けば、ほとんどの人がiDeCo に入れるようになったのです。
ちなみに、ここで「主婦」と言っているのは、専業主婦だけに限りません。所得税がかからない範囲で働いている、パートタイム労働者なども含みます。
入れるようになったということは、選択肢が増えたという事です。ですから、そのこと自体は歓迎すべきでしょう。しかし、「入れる」ことと「入った方が良いか」は別問題です。
iDeCo に関しては、主婦は入らない方が良いという意見の専門家も少なくありません。その一方で、主婦でもiDeCo に入っておいた方が良いという意見もあります。
このように意見が分かれる理由は何なのでしょうか。ちょっと確かめてみましょう。
ファイナンシャルフィールドの記事をチェック
とりあえず議論のたたき台にするために、ファイナンシャルフィールドというところの記事を紹介します。1 これは1級FP技能士が書いた記事ですので、(正直に言うと、いくつか気になる点はありますが)それほど変なものではありません。
主婦のiDeCo加入は意味がないという主張の根拠
この制度は他の所得控除とは異なり、加入者本人の所得からしか税金が控除されないため夫(妻)の所得からというわけにはいきません。
そのため収入がなく税金を払っていない主婦(夫)の場合は(1)の節税効果はありません。
この部分が、主婦はメリットが無いと主張する人の根拠ですね。
「(1)の節税効果」というのは、いわゆる所得控除の事です。所得控除というのは、所得税を計算するときに、iDeCo の掛金の分だけ所得が小さいものとして計算できるという事です。所得が小さければ、所得税も小さくなるという理屈です。
例えば、毎月1万円の掛金を払っていたら、年間の掛金は12万円となります。この12万円分、所得が少ないものとして所得税が計算できるわけです。
仮に税率が10%なら、所得税は年に1万2000円安くなります。税率が20%なら年に2万4000円安くなるといった具合です。
実際には、これに加えて住民税も安くなります。住民税の税率は一律で10%なので、さらに1万2000円節税できるというわけです。
ただ、所得税を納めるほど稼いでいない主婦の場合は、所得控除が受けられません。税金を払っていないのだから、減税のしようがありませんよね。
これが、主婦はiDeCo に入らない方が良いという人たちの理屈です。所得がある人と比べると、メリットがかなり小さくなってしまうのです。
(主婦を含めて)所得が無い人は、iDeCo のメリットが小さい。
主婦のiDeCo加入も一定の効果があるという説明
ただ、所得が無い人に全くメリットがないかというと、そういう事でもありません。それを説明しているのが次の部分です。
しかし、「自分年金を作る」をコンセプトに考えた場合どうでしょうか。例えば35歳主婦(夫)が毎月1万円を年率3%で60歳までの25年運用した場合、合計拠出金額300万円が約446万円になります。
利息146万円の税金は(20%で計算)29万2000円です。この税金がかからないとなると十分な節税効果が期待できます。また一時金で受け取る場合は拠出期間を勤続年数として退職所得控除を使える点も大きいです。
iDeCo では、投資信託のように運用益に税金はかかりません。ですから、運用して儲かれば、本来かかっていた税金の分はお得なのです。
もっともiDeCo の場合、給付を受け取るときに税金を取られることがあるんですけどね。例えば一時金で受取る場合は退職金と同じという扱いを受けるので、所得税が課税されることがあります。
ただ、所得税を取られない程度の稼ぎしかない主婦なら、このときにも税金が掛からない事が多いでしょう。
ですから、今回の例のように、毎月1万円を積立てて25年間3%で運用できたとしたら、146万円の節税ができるわけです。つまり、普通に投資信託を使って積立をするのに比べれば、かなり有利である可能性が大きいわけです。
つまり、主婦の場合はサラリーマンなどに比べてメリットは小さい物の、一定のメリットが存在するというわけですね。ですから主婦でもiDeCo に入った方が良いという考えの人もいるわけです。
主婦でもiDeCo に入った方が良いという意見もある。
記事の内容について検証してみましょう
さて、この記事の内容について、検証してみましょう。
儲からなかったら特にメリットはない
記事の中で説明されている節税の仕組みは、あくまで運用で儲かったら主婦でも節税できるという話です。所得がある人のように、確実に有利という話ではありません。
まずこの点は重要なポイントでしょう。主婦が使っても絶対に得だと思ってはいけません。
iDeCo の場合、自分で資産運用をすることになります。ということは、ほとんど儲からないどころか、大きく損をすることだってあり得ますからね。
もちろん、長期運用の場合、損をする可能性が大きいとは思いません。普通に運用をすればプラスになるはずです。
でも、元本割れの可能性だって考慮しないといけないのも事実です。
それに、自分で運用している以上、投資の常識からして正しくない運用をする人だっているはずです。例えば、全額を元本確保型で運用したら、節税のメリットはほとんどありません。現状、超が付くほどの低金利なので、利息が付かないからです。
主婦の場合、儲からなければ得ではないというのは、覚えておいて良いでしょう。
主婦の場合、儲からなければiDeCo にメリットはない。
iDeCoの大きなデメリットを自覚しましょう
また、iDeCoを使ってしまうと、途中で解約できないという大きなデメリットがあります。原則として、何があろうと途中で引き出すことは出来ないのです。
引き出せるのは加入者が亡くなってしまうなど、本当に一部の場合だけです。
実はこれは、かなり大きなデメリットと言って良いでしょう。所得控除のメリットが無いのに、現金化できないというデメリットを負わないといけないわけです。
率直にって、ちょっとデメリットの方が大きい気がします。
もちろん、純粋に大きく増やすという意味では、税制的に有利があるiDeCo の方が良いんですよ。しかし、すでに説明したように、主婦の場合はそのメリットが小さくなります。「それでもiDeCoにする?」という視点で考えないといけません。
メリットが無いだけなら、それほど問題視する必要は無いのですけどね。大きな問題点がある以上は慎重にならざるを得ません。
iDeCo には中途解約できないという大きな問題点がある。
つみたてNISAの方が良い
実は、この問題には、簡単な解決策があります。主婦の場合は「つみたてNISA」を利用すれば良いのです。
つみたてNISA は、毎月一定額分の投資信託を買う仕組みです。要するに、基本的な仕組みは、投資信託の積立です。この点はiDeCo と非常によく似ています。
つみたてNISA は何が優れているかというと、一定の条件はありますが、その利益に税金はかかりません。つまり、税制優遇という意味でも、主婦がiDeCo を使った場合と似ているのです。
iDeCo よりつみたてNISA をお勧めする理由は、とても単純です。つみたてNISA はいつでも解約できるのです。つまり、主婦の人にとって見れば、つみたてNISA の方が明らかにメリットが大きいわけです。
主婦の場合はiDeCo より「つみたてNISA」を選ぼう。
つみたてNISA は投資家に有利で金融機関に不利な仕組み
ちなみに、つみたてNISA に関しては、金融機関が勧める事はほとんどありません。その理由は簡単で、あまり手数料を取れない商品なので、金融機関が積極的に勧めないのです。金融機関にとってはメリットが無いわけですね。
この点に関しては、金融庁もご立腹だという週刊誌記事を読んだことがあります。金融機関があまりにも不真面目だと考えているようです。
また、地方の銀行などでは、そもそも取り扱っていないところもあります。取扱っている金融機関を探すところからしないといけないわけですね。
いずれにしても、つみたてNISA は金融機関にとって不利な商品であるという事です。これは、逆に言うと、私たち個人投資家には有利な商品であるとも言えます。
金融機関に払う手数料は、確実に私たちの損ですからね。つまり、個人投資家としては、金融機関が儲からないような商品を選ぶのが賢いというわけです。
つみたてNISA は手数料が安い金融機関に不利な商品。逆に言うと、私たちには非常に有利。
SBI証券をお勧めします
つみたてNISA が利用できる金融機関はいくつかあります。ただ、どこでも同じというわけではありません。
個人的にはSBI証券をお勧めします。理由は簡単で、つみたてNISA の取り扱いに積極的だからです。
つみたてNISA として積立可能な投資信託の種類がとても多いので、使い勝手が非常に良いでしょう。
メガバンクと呼ばれる、M銀行とかM銀行とか(メガバンクってM銀行ばかりですね)、全然やる気が無いですからね。金融庁に怒られるから、一応最低限の品ぞろえは用意していますけど。
付け加えると、SBI証券はネット証券としては非常に高い評価を得ています。オリコンが毎年ネット証券の顧客満足度調査をしているのですが、SBI証券はそこで常に上位にいるのです。これを書いている時点の直近の2017年も1位を取っています。
とりあえず、チェックしてみてください。
- 「iDeCo」×35歳主婦(夫) 主婦のiDeCoは意味がないって言われてるけど実際どうなの?
ファイナンシャルフィールド 6/4(月) 12:30配信 [↩]
iDeCoでは金融機関選びが大事
iDeCo をはじめるには、運営管理機関を選ぶ必要があります。運営管理機関というのは、窓口となる金融機関の事ですね。
この運営管理機関選びが、実は、かなり大事です。というのも、金融機関によって月々の手数料がだいぶ違いますし、取り扱っている投資信託の種類も違うからです。
個人的にお勧めなのは、SBI証券です。SBI証券は月々の手数料が167円と最低ですし、運用に使える投資信託もかなり多いのです。
iDeCo に興味があれば、資料請求だけでも取り寄せてみたらいかがでしょう。まとまった情報が得られますよ。

スポンサードリンク
スポンサードリンク





関連した記事を読む
- 企業型の確定拠出年金に入っている会社員が自営業者、主婦、パートタイマーなどになったら
- 確定拠出年金(個人型)の利用者の範囲が大幅に拡大| 2017年1月から
- iDeCoは税金の面でお得| 所得税・住民税が安くなる
- 確定拠出年金が誰でも利用できる仕組みになるかもしれません| 主婦や公務員も入れるように法改正する方針みたいです
- 【厚生労働省】iDeCoの拠出65歳までの延長を検討| 実現すれば減税に使える有利な変更です