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確定拠出年金の企業型は、実は従業員にとって有利な仕組みではない

確定拠出年金は有利な制度だと思っている人が多いようです。確かに個人型は、私たちにとってメリットが大きい仕組みでしょう。

しかし、企業型に関しては、必ずしもそうでは無さそうです。以前からある確定給付型の企業年金の方が、従業員にとって有利な仕組みと言えるかもしれません。

一般に、確定拠出年金は有利な制度だと考えられています

2017年にiDeCo という愛称が付けられ、確定拠出年金の「個人型(加入者本人が掛金を拠出するタイプ)」に加入できる人がの範囲が拡大されました。1 このとき、確定拠出年金は非常に有利な仕組みであると紹介されました。

その効果もあり、かなりの数の人が、iDeCo を利用するようになりました。まだまだ数としては多くないようなのですが、それでも今までと比べると確実に加入のペースが早まったようです。

確定拠出年金が有利というのは、個人型に関して言うと、たしかにその通りです。所得税を払う程度の稼ぎがある人なら、所得税や住民税の節税ができます。

また、運用中の売買に関しては非課税です。これらのメリットを考慮すれば、人によっては、年間数十万円程度のメリットがあるはずです。

途中で解約できないという大きな制限はありますが、それ以上の利点があると考えていいでしょう。所得が有る人なら、絶対に利用すべきです。2

企業型は私たちに有利なの?

しかし、企業型(企業が掛金を拠出するタイプ)の場合は、従業員にはそれほど大きなメリットはありません。年金を受け取るときに、税制上、多少有利な方法で受け取れるという程度でしょう。

でも、これは、他の企業年金と同じです。

企業型に関して言うと、むしろ従業員にとっては不利な制度かもしれません。というのも、厚生年金基金などの以前からの企業年金では、従業員が受け取る年金は会社が保証してくれているのです。

仮に運用で失敗しても、その補填は会社がしてくれているわけですね。補填の結果、会社の業績に大きな悪影響があった企業なども存在します。

確定拠出年金は、本来は貰えるはずでないお金が貰えるのだから有利だという人もいるでしょう。ただ、それはちょっと違います。多くの企業では、確定給付型の企業年金3 や退職金制度を廃止して、確定拠出年金(企業型)に移行してきているからです。

つまり、確定拠出年金(企業型)が無かったら無かったで、別の方法を使って貰えていたお金である可能性が大きいわけです。そして、確定拠出年金(企業型)に移行したことは、従業員にとって不利である可能性が大きいのです。

運用のリスクを負うのは従業員

確定拠出年金では、ご存知のように、将来受け取るの年金の額は運用の結果次第です。ということは、運用に失敗すると、年金額が大きく減ってしまうのです。

これは言い換えると、価格変動のリスクは従業員が負うという事を意味します。その一方で、運用の期待リターンが大きくなるわけではありません。

これって、明らかにデメリットですよね。リスクが大きくなってリターンが変わらないわけですから、本来なら避けるべき投資です。

まあ、確定拠出年金の場合は企業主導で決められてしまうので、避けようが無いのですけど。でも、可能なら確定給付型の方がメリットが有るわけです。

以前の年金制度でも、運用に失敗するという事はありました。しかしその場合でも、上にも書きましたが、運用失敗の損失補填は企業側がしてくれていました。

つまり、確定拠出年金(企業型)を導入したことで、従業員にとっては不利になったというわけです。これまでリスクを負っていたのは企業だったのが、従業員がリスクを負うようになったのです。

企業型は企業の負担軽減のために導入された

そもそも確定拠出年金(企業型)という仕組みは、企業の負担軽減のために導入されたという部分もあります。というのも、上に書いたように、確定給付型の企業年金では運用の失敗などで、企業は追加の負担を求められる場合があるからです。

その結果、企業の業績に影響して、倒産なんていう可能性も出てくるのです。年金は額が大きいので、失敗すると企業へのダメージは小さくありません。

しかし確定拠出年金(企業型)なら、企業はいったんお金を出してしまえば、追加の負担はありません。どんなに運用に失敗したとしても、従業員の責任にすることが出来るのです。

ただ、この事をもって、会社がズルいという安易な批判をすることも出来ません。というのも、企業年金の負担が増えたために企業が倒産したら、従業員にとっても不幸ですよね。

海外の例ですが、アメリカのGMは退職者に対する負担が膨らんで倒産したという見方もあるようです。従業員のための福利厚生でも、企業が倒産したら本末転倒です。

年金数理に関するコストが不要

多少細かい話ですが、確定拠出年金には年金数理に関するコストが不要になるというメリットがあります。年金数理というのは、年金制度を維持していくために掛金と給付をどう決めるのかという数学のことです。

確定給付型の企業年金というのは、当然ですが、長期的に制度が維持できないと困ってしまいます。それを可能にするために、数学を使っているわけです。

この年金数理に関しても、コストが掛かります。専門家を雇わないといけませんからね。

しかし、確定拠出年金なら、年金数理のコストは掛からないのです。というのも、企業がいったん拠出してしまえば、その後の運用は全部従業員任せだからです。年金数理の出番が無いのです。

確定拠出年金の企業型は、比較的小さい企業でも手軽に加入できると言われています。その要因の一つが、年金数理のコストが掛からないからでしょう。

大企業にとってはたいしたコストではなくても、中小企業にとっては年金数理にかかる費用は意外と大変なはずです。

年金数理を使っても失敗した厚生年金基金

厚生年金基金は、その多くが運用に失敗していました。その結果、多くの厚生年金基金が、解散するという決断をしているようです。

つまり、年金数理という立派なものがあっても、制度の維持が出来なかったのです。大赤字を垂れ流していた基金がかなり多かったようですからね。

この状況を見ると、年金数理が役に立つのか疑問に思う人もいるかもしれません。制度を維持するための年金数理なのに、結果的にバタバタと潰れたわけですからね。

しかし、これに関しては、年金数理の問題というのは少し酷でしょう。というのも、計算の前提となる数字が間違っていたのです。

厚生年金基金の多くは、年5.5%という期待収益率で制度設計されていました。例えば、100億円が1年経つと105億5000万円になるという見積もりで、制度を作っていたわけですね。

でも、実際には年5.5%で運用するのは簡単ではありません。全額を株式で運用するような、かなりリスクが大きな運用をしないと実現できない数字だからです。

ただ、期待収益率が5.5%と決められてしまうと、年金数理を使うとしても期待収益率5.5%をもとに計算せざるを得ません。期待収益率が高めに設定されれば、当然ですが企業の拠出は必要以上に小さいものになります。その結果、給付に回すお金が足りなくなるという流れだったのです。

ということで、厚生年金基金の失敗の原因は、年金数理にあるというよりも年金基金の甘い見通しにあったというべきでしょう。本当にひどい状況だったようです。

こうなると確定拠出年金(企業型)の方がマシかも

このように、能力的に問題が有る人たちが、多くの厚生年金基金を運営していました。こんなところを利用するくらいなら、追加の負担が発生しない確定拠出年金の方が良いと考えるのは当然でしょう。

企業としても、信頼して任せていたのに、大失敗をしたわけです。追加の負担も発生したでしょうから、詐欺にあったようなものです。

従業員しても、年金基金の運用失敗が原因で企業が倒産したのでは、たまったものではありませんよね。企業年金をもらうために明日からの給料がもらえなくなるなんて、笑えない話ですから。

そう考えると、確定拠出年金の企業型に移行するのは、従業員にとってのメリットという側面も有るのかもしれません。もっとも、まともな基金が無いので仕方なくという感じですけど。


  1. 確定拠出年金には個人型と企業型があって、個人型に関する法改正があったわけです。 []
  2. 逆に言うと、所得がない人はiDeCo を利用してはいけません。iDeCo を使うなら、NISA を使った方がメリットが大きいです。 []
  3. 年金額をあらかじめ決めているタイプの企業年金。適格退職年金、厚生年金基金、確定給付年金など []

iDeCoでは金融機関選びが大事

iDeCo をはじめるには、運営管理機関を選ぶ必要があります。運営管理機関というのは、窓口となる金融機関の事ですね。

この運営管理機関選びが、実は、かなり大事です。というのも、金融機関によって月々の手数料がだいぶ違いますし、取り扱っている投資信託の種類も違うからです。

個人的にお勧めなのは、SBI証券です。SBI証券は月々の手数料が167円と最低ですし、運用に使える投資信託もかなり多いのです。

iDeCo に興味があれば、資料請求だけでも取り寄せてみたらいかがでしょう。まとまった情報が得られますよ。

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