確定拠出年金(企業型)では、かなりの割合が元本確保型で運用されているようです。資産全体で見ると半部を超える割合です。さて、何でこんな事が起こるのでしょうか?
Contents
企業型は元本確保型中心(?)で運用されている
企業年金連合会の「2016(平成28)年度決算 確定拠出年金実態調査結果(概要)」1 という資料を見ていたら、興味深い結果が載っていました。資産残高ベースで見た場合、投資信託などで運用している割合が44.8%なのに対して、元本確保型で運用している割合が55.2%もあるのです。
要するに、半分以上は元本確保型で運用されているというわけです。いくら何でも、この比率は高すぎるでしょう。
あ、ちなみに、この調査は確定拠出年金(企業型)に限ったものです。個人型では違った傾向になるでしょう。
放置している人がかなり多い
この不思議な結果の理由は、すぐにわかりました。どうやら、確定拠出年金(企業型)では、何もしないで放置している人が多いようなのです。
元本確保型の資産のある程度の割合は、この人たちの資産が占めているようです。放置しているから、デフォルトの元本確保型の商品の残高が積みあがっていくわけです。
元本確保型の割合が異様に高い理由が分かりました。日本人がリスク資産嫌いというだけでは説明できませんからね。
企業型では4割が放置している?
もうちょっと正確に書くと、元本確保型100%である加入者の割合は、全体の39.5%なのだそうです。なかには、加入者全員が元本確保型であるような企業(正確には規約)も、 1.3%と少数ではありますが存在するようです。
この人たち全てが放置しているとは言いません。でも、この人たちの多くは、あまり運用に関心が無い人なのでしょうね。関心があれば、全部元本確保型を選ぶという選択は、あまりしないでしょうから。
まあ、極端にリスク回避的な人がいて、積極的に元本確保型を選んでいる可能性も否定はしません。でも、さすがにこのタイプは、いても少数派でしょう。
無関心層を除くと投資信託が7割くらいかな
おそらく、この39.5%をひいて計算すると、おそらく7割くらいは投資信託などで運用されているという事になるのでしょう。元本保証は3割程度です。
39.5%は資産の割合では無いので、手元のデータだけでは正確な数字は計算できませんけどね。
まあ、この程度の割合なら、ある程度妥当な感じはします。個人的には確定拠出年金で元本確保型を入れる理由はよく分かりませんが、組み込んだ方が良いと考える人もいるでしょうからね。
個人型ではこのような結果にはならないでしょう
個人型(iDeCo)では、多分、こんな結果にはならないでしょうね。iDeCo の場合は自分から進んで口座を作っているわけですから。完全に放置ということはあまりないでしょう。
最初に配分を決めて、それを変えていないという人はいると思いますけどね。でも、その場合は、元本確保100%とはなりません。
もっとも、税制の優遇だけに興味があり、運用はイヤだという人もいるかもしれません。そういう人なら、元本確保型100%かもしれませんけどね。
まあ、さすがに、そのタイプは少数派でしょう。
【補足】企業型で元本確保の商品で運用するのは堅実な運用ではない
さて、元本保証やそれに近い金融商品で運用している人を、堅実な運用をしていると評することがあります。確定拠出年金においては元本確保型の商品で運用しているケースですね。
儲からなくてもいいから損をしたくないというスタンスを、堅実と捉える人もいるのでしょう。イメージとしては、分からなくなありません。
元本保証は堅実ではない
ただ個人的には、インフレのリスクに対処できていないので、元本保証の商品で運用するのが堅実とは思えません。堅実と言うよりは、むしろ、確実に損をする選択をしているようにしか見えないのです。
ゼロ金利の時代に元本確保の商品で運用したら、期待収益率は0%です。つまり全く増えないわけです。
それに対して、仮にインフレが年1%でもあったら、年1%のペースで減って行くことになるわけです。これを、確実に損をする投資と言わないで、何というのでしょうか。
こんなもん、堅実でも何でもないですよね。それとも、デフレが前提なのかな。
確定拠出年金では増やさないと損をする
実は、確定拠出年金の場合は、インフレだけが問題ではありません。確定拠出年金の場合は積極的に増やさないと損をすることになるのです。
なぜ増やさないといけないかと言うと、普通の投資とは所得税の考え方が違うからです。確定拠出年金だと、儲かっていなくても所得税を取られてしまいます。
普通の投資では、利益に対して税金がかかります。例えば、100万円を120万円まで増やしたら、この20万円に対して税金がかかるのです。
これに対して確定拠出年金では、最終的な残高に対して所得税がかかります。今回の例でいうと、元本も含めた120万円に対して税金がかかります。
ただ、その代りに、通常の所得税よりは有利な公的年金等控除や退職所得控除が使えるのですけどね。とはいえ、少しでも課税さられれば、元本割れをしてしまうという税体系になっているわけですね。
企業型には拠出時の減税もない
個人型の場合は、拠出時の減税があります。元本確保型で運用してもまだ有利かもしれません。
しかし企業型だと、拠出時の減税があるのは、基本的には掛金を拠出する企業です。ということは、従業員としては、確実に損をするというわけですね。
もっとも、自分で拠出しているわけではないので、損をしているとは言えないという言い方もできますけどね。でも、そんなお金であれば、必要以上に堅実に運用する必要もないわけです。
やっぱり、元本確保型で運用する意味は無さそうに思うのですが。あなたはどう考えますか。
iDeCoでは金融機関選びが大事
iDeCo をはじめるには、運営管理機関を選ぶ必要があります。運営管理機関というのは、窓口となる金融機関の事ですね。
この運営管理機関選びが、実は、かなり大事です。というのも、金融機関によって月々の手数料がだいぶ違いますし、取り扱っている投資信託の種類も違うからです。
個人的にお勧めなのは、SBI証券です。SBI証券は月々の手数料が167円と最低ですし、運用に使える投資信託もかなり多いのです。
iDeCo に興味があれば、資料請求だけでも取り寄せてみたらいかがでしょう。まとまった情報が得られますよ。

スポンサードリンク
スポンサードリンク




