確定拠出年金の「確定拠出」って、いったい何なのでしょうか。従来の年金商品と何が違うのでしょうか。
そもそも、年金の掛け金(拠出)が決まっているって、それほど不思議な事ではないですよね。例えば、生命保険の個人年金保険も、あるいみ確定拠出ですし。こういう名前をわざわざ付けるのには、それなりに理由がありそうです。
確定拠出とは
最近は、iDeCo という名称が広がってきましたが、iDeCo はもともとは確定拠出年金(個人型)という金融商品です。元々はというか、今でも確定拠出年金(個人型)が正式名称なんですけどね。iDeCo は単なる愛称ですから。
ところで、「確定拠出年金」って、字面からはどんな仕組みなのか分かりづらくないですか?年金は分かるとして、「確定拠出」って何なのでしょうか。
「拠出」という言葉は、元々、お金を出すという意味です。私的年金の場合は、掛け金を出すことと言っても良いですね。
つまり、「確定拠出年金」という言葉は、「拠出」(掛金)が「確定」している「年金」という意味なのです。ちなみに、参考にしたアメリカの制度に倣って、401k と言う人もいます。この言い方をする人は大分少なくなりましたが。1
拠出額が決まっているという事は
さて、一般に私的年金というのは、給付額が決まっているものです。例えば、生命保険の個人年金保険の場合は、「60歳から10年間、○○円の年金が支払われます」という感じのものが多いですよね。
こういう、給付が決まったタイプの年金を、確定給付年金と言います。名前の通り、給付が確定なので、確定給付年金です。
しかし、確定拠出年金の場合は、決まっているのは拠出額だけです。ということは、裏を返すと、給付に関しては確定していないわけです。
つまり、わざわざ確定拠出という呼称を使うのは、他に未確定な部分があることを匂わせているとも解釈できます。「未確定給付」であることを婉曲に言っているという事も出来るわけですね。
確定拠出とわざわざ書くことで、「もらえる年金はいくらになるか分かりませんよ」ということをほのめかしているのです。このことは覚えておいて損はないでしょう。
なぜ給付が確定ではないのか
ところで、確定拠出年金は、なぜ確定給付ではないのでしょうか。
確定拠出と確定給付は決して両立しない考え方ではありません。例えば上で、個人年金保険は確定給付だと説明しました。しかし、個人年金保険は確定拠出でもあります。
個人年金保険は、契約時点で月々の保険料は決まっていますよね。途中で増えたり減ったりはしません。
確定拠出年金が確定給付でない理由は、ご存知の方が多いでしょうか。確定拠出年金の場合は、将来年金を受給する本人が自分で運用するため、運用次第で年金額が増えたり減ったりするのです。
まあ、運用と言っても、それほど難しい話ではありませんけどね。基本的には、毎月一定額、投資信託に積立をするだけです。あとは必要に応じて、それを売買するだけですね。
個人投資家が普通にやっている事と大差はありません。少し勉強したら、基本だけなら簡単に学べます。本格的に勉強しようと思うと、何年もかかったりするのですけど。
確定拠出であることは企業にとって都合が良い
ちなみに、確定拠出年金というのは、企業にとって都合が良い仕組みです。正確に書くと、確定給付でないことが企業にとってのメリットになります。
確定拠出年金(企業型)というのは、企業年金の一つです。企業年金というのは、簡単に言うと、会社がお金を出して従業員の老後資金を準備してあげる仕組みです。
企業年金が従業員の退職金代わりに使われる例もあります。あるいは、退職金の全額でなくても、退職金の一部だったりします。
さて、この企業年金ですが、確定給付にするのは非常に都合が悪いのです。なぜかというと、確定給付にしてしまうと、運用の失敗が許されないからです。というのも、運用が失敗すると、企業が補填をしないといけません。
よほど体力がある企業は別として、この補填は企業にとっては負担になります。経営を悪化させる可能性すらあるのです。
確定拠出年金(企業型)なら、掛け金の負担は企業ですが、損失の失敗を補填するという事は全くあり得ません。ということは、企業としては、予定外の出費の可能性がなくなるわけです。すなわち、とても利用しやすい仕組みだという事です。
まとめ
年金には確定拠出の年金と確定給付の年金の2つがあります。そして、確定拠出であることをわざわざ明記している理由は、暗に確定給付ではないことをほのめかしていると考えられます。
そして、確定拠出年金が確定給付ではない理由は、将来受給する本人が年金の運用をするためです。決して、確定拠出だから「未」確定給付というわけでは無いのです。実際、確定給付で確定拠出の年金というのも存在しますからね。
- そういえば、日経平均を日経ダウと呼ぶ人もいますね。宮澤喜一とか、たしかそうだったはずです。もともと日経平均株価指数がアメリカのダウ指数を参考に作られたことに由来します。あ、完全に余談です。 [↩]
iDeCoでは金融機関選びが大事
iDeCo をはじめるには、運営管理機関を選ぶ必要があります。運営管理機関というのは、窓口となる金融機関の事ですね。
この運営管理機関選びが、実は、かなり大事です。というのも、金融機関によって月々の手数料がだいぶ違いますし、取り扱っている投資信託の種類も違うからです。
個人的にお勧めなのは、SBI証券です。SBI証券は月々の手数料が167円と最低ですし、運用に使える投資信託もかなり多いのです。
iDeCo に興味があれば、資料請求だけでも取り寄せてみたらいかがでしょう。まとまった情報が得られますよ。

スポンサードリンク
スポンサードリンク





関連した記事を読む
- 転職すると確定拠出年金ってどうなるの?| 不利になる事はあるのでしょうか
- 確定拠出年金の個人型に入っている人(自営業者や主婦)が会社員になる場合の確定拠出年金
- 確定拠出年金の企業型は、実は従業員にとって有利な仕組みではない
- 確定拠出年金の投資教育ってどうなっているの?| 企業型と個人型で状況は全然違う
- 厚生年金は公的年金、厚生年金基金は私的年金| 何てややこしいんだ!