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厚生労働省公式見解(?)確定拠出年金のメリットは節税以外あるのか

厚生労働省サイトの「確定拠出年金制度の概要」というページに、確定拠出年金のメリットが書かれていました。

厚生労働省は、どんなところがメリットであると考えているのでしょうか。軽く茶々をいれながら、ちょっと確認してみましょう。

まずは、「確定拠出年金制度の概要」に書かれた、確定拠出年金のメリットについて抜粋してみましょう。

  • 加入者個人が運用の方法を決めることができる。
  • 社員の自立意識が高まる。
  • 経済・投資等への関心が高まる。
  • 運用が好調であれば年金額が増える。
  • 年金資産が加入者ごとに管理されるので、各加入者が常に残高を把握できる。
  • 一定の要件を満たせば、離転職に際して年金資産の持ち運びが可能。
  • 企業にとっては、掛金の追加負担が生じないので、将来の掛金負担の予測が容易。
  • 掛金を算定するための複雑な数理計算が不要。
  • 拠出限度額の範囲で掛金が税控除される。

結構たくさんありますね。納得できるものもあるのですが、中には首をかしげたくなるようなものもあります。

一つずつ見ていきましょう。

加入者個人が運用の方法を決めることができる

確定拠出年金では「加入者個人が運用の方法を決めることができ」ます。これがメリットだという事です。

最初から、よく分からないのが来ていますね。はたして、「加入者個人が運用の方法を決めることができる」というのは、本当にメリットなのでしょうか。

そもそも私たちが年金制度に求めているのは、できるだけ増やしたいという点だけですよね。増えてくれるのであれば、方法なんて構わないはずです。自分で運用方法を決められようが、人が運用してくれようがどちらでもかまいません。

運用方法を決められるというのは、確かに特徴ではあると思うんですけどね。メリットかと言われると、ちょっと理解に苦しみますね。

1つ目からこれだと、先が思いやられます。

社員の自立意識が高まる

2つ目はさらに意味が分かりません。「社員の自立意識が高まる」のがメリットなのだそうです。

「社員の自立意識が高まる」かどうかは、年金制度と関係ないですよね。それに、確定拠出年金を実施すると「社員の自立意識が高まる」というのも、ちょっと論理が飛躍しすぎている気がします。

厚生労働省大丈夫か?メリットが見つからなくて、苦労した結果でしょうか。

はい、次。

経済・投資等への関心が高まる

「経済・投資等への関心が高まる」というのも、メリットとしてあるのだとか。でも、これも、本来の年金制度の目的とは関係ない話ですよね。これをメリットと言ってしまうのは、かなり違和感を感じます。

それに、確定拠出年金に関する調査を見ていると、投資に関して勉強もしないで放置している人すらいるようです。本当に経済に興味を持つ人がどれくらいいるのか、かなり怪しいものです。

運用が好調であれば年金額が増える

「運用が好調であれば年金額が増える」というのもメリットなのだとか。

でも、これをメリットとして挙げるのも、かなりおかしいです。だって、これって、運用にリスクがあると言っているのと同義ですからね。好調なら増えるけど、不調だったら減るというだけの話です。

ここまで、全部、厚生労働省が言っていることは的外れですねえ。

年金資産が加入者ごとに管理されるので、各加入者が常に残高を把握できる

やっと少しまともな主張が出てきましたね。各加入者が運用状況を把握できるというのは、確かにメリットと言って良いでしょう。この運用状況で年金額が決まりますからね。

一定の要件を満たせば、離転職に際して年金資産の持ち運びが可能

年金資産の持ち運びができるというのが、確定拠出年金の大きなメリットの一つです。確かにこれは、大きなメリットと言えるでしょう。

年金資産を持ち運ぶというのは、例えば、会社員だったAさんが辞職をして、個人事業主になったとします。このAさんの会社では、確定拠出年金を実施していたとします。

この場合、Aさんが会社を辞めた後も、個人型として会社員時代の確定拠出年金の運用を続けることが出来るわけですね。別の環境でも前の年金の資産を引き継いで運用できるのが、確定拠出年金の特徴です。これを持ち運びといっているわけですね。

ある会社から別の会社に転職する場合も、似たような事が出来ます。このように、年金を持ち運べることをポータビリティと言います。

企業にとっては、掛金の追加負担が生じないので、将来の掛金負担の予測が容易

確定拠出年金の企業型では、企業がいったん拠出してしまえば、その後の運用は従業員の責任です。仮に運用に失敗して資産が半分になろうと、企業としては知ったことではありません。

これって、確かに、企業にとってはメリットですよね。確定給付型の年金だったら、仮に運用に失敗したら、企業は損失の補填をしないといけませんから。

でも、私たちの立場からすると、逆にデメリットというべきですよね。運用に失敗したら、年金がかなり減ってしまうのですから。

ということで、これをメリットと言って良いかといわれると、個人的にはかなり疑問に感じます。これもやっぱり特徴の一つという程度でしょう。私たち加入者からみると、むしろデメリットです。

掛金を算定するための複雑な数理計算が不要

確定給付年金というのは、実は保険の一種です。運営をするためには、保険数理という数学が必要になります。保険数理を使って計算しないと、掛け金の額が決まらないわけですね。

しかし、確定拠出年金(企業型)というのは、従業員にお金を渡して「後は勝手に運用して」というような仕組みです。ですから、従業員が運用する金額は、会社が自由に決められます。難しい計算が要らないのです。

ということで、これは確かにメリットといえるでしょう。もちろん、企業にとってはですけど。

この話も、結局のところ、私たちには関係が無いんですよね。ですから、これをメリットといわれても、「ちょっとねえ」という感じです。

拠出限度額の範囲で掛金が税控除される

最後に、拠出限度額の範囲で掛け金が控除されるというのがメリットとして挙がっています。要するに、加入者が自分で拠出した場合、所得税や住民税が安くなるという事ですね。企業だと、企業が拠出した分に応じて法人税が安くなります。

これは確かに、私たちにとってのメリットといえるでしょう。しかも、今まで挙げた中で圧倒的に大きなメリットです。何せ、人によっては、年間数十万円程度の節税ができるケースがありますからね。

ただ、このメリットも、万人向けのものではありません。というのも、所得税を納めていない人は、節税のしようが無いからです。例えば、専業主婦とか100万円以上は稼がないようにしている主婦などがそれにあたります。あるいは、起業直後の個人事業主も所得税はかからないかもしれませんね。

他にメリットがあったのではないだろうか

ちょっと不思議なのが、ここに挙げた以外にメリットがあるのではないかという点です。リスト前半の意味不明のメリットよりも、挙げられていないメリットの方が価値があるはずなんですけどねえ。

確定拠出年金はファンドに積み立てて運用するのが基本です。ただ、積立てていたファンドを売却して、違うファンドに乗り換えることもできます。実は確定拠出年金では、ファンドを売った際の売却益は非課税なのです。

通常の投資信託の積立だったら、投資信託を売ったら儲けの2割は所得税として取られます。その分の課税が無いわけですね。

これって、絶対にメリットだと思うんですけどね。何で入れなかったのでしょうか。短い文で正確に説明するのが難しいと思ったのかなあ。

結局、私たちにとってのメリットは

ここまでいろいろ書いてきましたが、結局、私たちにとっての確定拠出年金のメリットは、「税制上有利な仕組みである」という一言で要約できそうです。それ以外にメリットしてあげられているポイントは、率直に言って、的外れだったり弱かったりします。

あと、もう一つ挙げると、持ち運びができるので転職が不利になりづらいという点くらいかな。将来の企業年金や退職金に縛られて、独立したくてもできないという人だっているはずですからね。多少なりともそういう縛りが軽くなるのは良い事でしょう。

まあ、この2点くらいですね。でも、節税に関するメリットがあまりに大きいので、そのメリット一つでも利用する意味がある人が多いのです。


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