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確定拠出年金のデメリットは何?| 厚生労働省の公式見解に迫りましょう

厚生労働省の「確定拠出年金制度の概要」というページに確定拠出年金のデメリットが書かれていました。でも、「あれ?」と思うような記述も少なくありません。

そこで、厚生労働省の言う確定拠出年金のデメリットは、本当にデメリットなのか検証してみましょう。検証って言うか、揚げ足取りに近いのかもしれませんが。

厚生労働省の公式見解

厚生労働省公式見解!

厚生労働省が言う確定拠出年金のデメリットは、次の7点です。

  1. 投資リスクを各加入者が負うことになる。
  2. 老後に受け取る年金額が事前に確定しない。
  3. 運用するために一定の知識が必要。
  4. 運用が不調であれば年金額が減る。
  5. 原則60歳までに途中引き出しができない。(退職金の代わりにはならない)
  6. 勤続期間が3年未満の場合には、資産の持ち運びができない可能性がある。
  7. 加入者ごとに記録の管理が必要になるため、管理コストが高くなりやすい。

デメリット(?)その1:投資リスクを個人が負う

一つ目の「投資リスクを各加入者が負うことになる。」という指摘は、確かにその通りでしょうね。もともと企業年金というのは、企業がリスクを負って運用をしていたわけです。運用が上手くいかなければ、企業から補填をするという事もありました。

しかし、確定拠出年金の企業型では、企業は決められた額の掛け金を払うだけです。仮に運用が上手くいってもいかなくても、知ったことではないという事ですね。要するに、確定拠出年金は、投資リスクを取るのが企業から個人に移した制度という事が出来るわけです。

ただ、個人型の場合は、必ずしもこの指摘はあたりません。というのも、個人型の場合は企業年金に相当するものが無いからです。敢えて上げると国民年金基金などは企業年金的な性格がありますかねえ。でも、確定拠出年金が使えるようになっても、現在でも国民年金基金は使えるわけですから、特に個人が不利になったというわけえはありません。

確定拠出年金(企業型)では、確かに個人のリスクが増えました。この点はデメリットと言って良いでしょう。ただ、個人型に関しては、特にリスクが増えたわけでは無く、特にデメリットとも言えないでしょう。

デメリット(?)その2:年金額が事前に確定しない

「老後に受け取る年金額が事前に確定しない」というのが2つ目の指摘です。確かに、年金額は確定しません。確定拠出年金は運用の結果受給額が変わるので当然です。

でも、そもそも公的な年金だって、受給額は確定していないんですよね。実際、私は自分が将来受け取る年金の額を知りません。私と同世代の人だと、誰一人として受給額を知らないでしょう。決まっていないのですから当然です。

公的年金ですら受給額を確定できないのが、長期での運用です。ですから、確定拠出年金で受給額が確定しないのがデメリットと言われても、全くピンとこないわけです。

ちなみに、将来の年金額を確定させる方法が一つだけあります。全額を現金で持つことです。「積立額=受給額」となるから、一目瞭然で受給額が分かります。

さて、現金で持つのがいいか、確定しないリスクを取って運用するのがいいか。結論は明らかですよね。

公的年金ですら受給額は確定していません。

デメリット(?)その3:運用するには知識が必要

「運用するために一定の知識が必要」というのもデメリットとして指摘されています。なるほど、勉強しないといけないのはデメリットですか。

でも、確かにこれは、大きなデメリットと言えないこともありません。というのも、率直に言って、個人投資家が資産運用を学ぼうと思った時に、まともな本を探すのは一苦労ですからね。

はっきり言って、初心者向けの投資の本は、当たり外れが大きいんですよね。しかも外れの方が多いという、地獄のような状況です。

また、専門家面してテレビなどで解説するFPも、投資の知識としては首をかしげるレベルの人が多いです。まあ、FPは運用の専門家ではありませんから、仕方がない部分がありますけどね。

ということで、学習する時間を取られるという意味ではなく、正しく学習するのが難しいという意味で、厚生労働省の言う通りデメリットと言えるかもしれません。

日本だと運用の正しい知識が得られにくい。その意味では、確かに、デメリットかもね。

デメリット(?)その4:運用に失敗するリスクも

4つ目の指摘が「運用が不調であれば年金額が減る」です。これって、2つ目の「老後に受け取る年金額が事前に確定しない」とほとんど同じ意味ですよね。年金額が確定しないので、特に運用がうまくいかないと、掛け金よりも給付が減る可能性があるという話です。

これ以上は特にコメントする必要を感じません。はい、次。

デメリット(?)その5:途中解約ができない

「原則60歳までに途中引き出しができない(退職金の代わりにはならない)」が5つ目のデメリットです。

でも「60歳まで引き出しができない」のと「退職金の代わりにならない」のでは、意味あいが違うように思うのですが。なぜこれを一つにまとめたのか。厚生労働省も雑な仕事をするものです。それとも、何か深い考えがあるのでしょうか。

「原則60歳まで」云々というのは、一度入ると原則として途中で解約ができないという事ですね。まあ、これは仕方がないと言えば仕方がありません。

確定拠出年金には税制上のものすごい大きなメリットがあります。掛け金の額にもよりますが、年間数十万円程度の節税ができる可能制すらあるのです。それだけ大きなメリットを与えているわけですから、途中解約禁止くらいの厳しい縛りがあっても不思議な事ではありません。

国としても、せっかく老後資金のために作った優遇の仕組みを、悪用されてはかないませんからね。このくらいの制限は当然かけるでしょう。

ところで、「退職金の代わりにならない」というのは、どういう意図で入れたのかなあ。退職金の代わりに確定拠出年金を導入した企業があるので、それを念頭に置いているのでしょうけど。

退職金なら退職後の生活の足しにできたのに、それに使えないという話でしょうか。まあ、確かに、60歳までに退職したのであれば、それで困るケースも無いとは言えないでしょう。

でも、そもそも退職金というのは、どこの企業でも貰えるという類のものではありませんよね。そうであれば、特別デメリットという感じはしないのですが。

退職云々というのは、なんで入れられているのか、ちょっとわかりません。

原則として中途解約ができないのは、確かに大きなデメリットです。でも、この制限があるから、税制の優遇もあると言えます。

デメリット(?)その6:勤続期間が3年未満の場合の取扱い

6つ目が、「勤続期間が3年未満の場合には、資産の持ち運びができない可能性がある」という指摘です。これはちょっと分かりづらいですね。

これに関しては、明治安田生命のサイトの次の記述の方が分かりやすいでしょう。引用してみましょう。

なお、企業ごとの年金規約によって、勤続期間が3年未満で中途退職した場合には企業が拠出した掛金合計額を限度として年金資産を企業に返還する等の条件が設けられている場合もあります。

要するに、あまりに短い期間に退職したような場合、確定拠出年金の持ち出しを許しませんよという事です。企業型の場合は、そういう決まりを作ることが出来ます。

この決まりを見ると、企業が何かずるいことをやっていると感じる人がいるかもしれません。でも、実際には、別にズルをしているわけでも何でもないのです。というのも、企業型では、基本的にお金を出しているのは企業ですから。企業が出したお金の範囲で、持ち運びを禁止できるようにするのは不自然な事では無いですよね。

また、そもそも退職金の場合も、勤続年数が短い場合は支払われませんよね。確定拠出年金でも、同じことが出来るに過ぎないという事でもあります。

ですから、特別デメリットという感じでも無いんですよね。こういう規定がありますという程度の話です。

勤続年数があまりに短い人に対して、退職金の性格をもつ確定拠出年金を渡さないのは、ある意味当然かも。デメリットっていうほどの話ではありません。。

デメリット(?)その7:管理コストが高くなりやすい

最後のデメリットとして指摘されているのが「加入者ごとに記録の管理が必要になるため、管理コストが高くなりやすい」という点です。

確定拠出年金の場合は、確かに一人一人の運用管理が必要なので、その点は高コストの要因になり得ますね。でも、ITがこれだけ発達していますから、コストが掛かると言っても、それほどたいした話でもありません。

個人型の場合は、毎月の口座管理料というのが必要になります。積立を行っている期間だと、この費用が167円から617円というのが現状です。

投資額との比率で考えると、最初のうちはこの費用の負担は小さくありません。例えば初月は運用資産1万円に対して手数料617円というようなケースもあるわけです。率に直すと運用資産の6.17%というとんでもない手数料です。

でも、ある程度運用額が大きくなれば、運用資産全体から見るとたいした負担では無いでしょう。また、これをはるかに上回る節税効果もありますしね。

ということで、管理コストが高くなるというのは確かにデメリットですが、それほど気にならないというのが正直なところです。それでも月々617円というのは高すぎますからね。こういう金融機関はぜひ避けるようにしたいものです。ちなみに「十八銀行」という長崎の銀行です。

管理コストは確かにデメリットだが、金融機関を選べば長期的にはそれほど気にする必要はない。

途中解約ができないのが一番のデメリットかな

厚生労働省が挙げる確定拠出年金のデメリットを一通り検証してみましたが、率直に言ってそれ程大きなデメリットは無いという印象でした。「これ、デメリットなの?」と思ってしまうような項目すらありましたね。

その中で、確実にデメリットと言えるのは、途中で解約ができないというところでは無いでしょうか。このルールがあるので、限度額いっぱいに掛け金をかけられない人は少なからずいるはずです。まあ、制度上仕方がないルールだとは思いますけど。

あと、厚生労働省は上げていませんでしたが、掛け金の上限が小さいのもデメリットの一つでしょうね。もうちょっと大きな額を掛けたいと思っている人も、少なからずいるはずです。


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