国民年金基金の地域型は、合併を目指しているようです。まあ、当然の成り行きでしょうね。
さて、この合併話、どうなるでしょうか。まあ、あまり興味を持っている人は多くないとは思いますが。
Contents
国民年金基金とは
国民年金基金という仕組みをご存知でしょうか。
最近ではすっかりiDeCo にお株を奪われてしまいましたが、自営業者などが入る、老後の資金を準備するための仕組みです。正確には、国民年金の第一号被保険者なら入ることができます。
国民年金基金もiDeCo に近い税制の優遇措置があります。その意味では、かなり大きいメリットがある仕組みではあります。
ただ、固定金利の商品なので、インフレに弱い仕組みとも言えます。その点は注意が必要でしょう。
イメージとしては、生命保険会社の個人年金保険に近い仕組みだと思ってください。もちろん、個人年金保険と比べれば、遥かに有利でしょうけどね。
あまりおすすめできません
これを書いている時点の予定利率は1.5%で計算しているようです。この予定利率は、契約した時点で決まる、いわゆる固定金利です。
固定金利ということは、市場の金利が今度どのように動こうと、今契約した人は1.5%の金利が適用され続けるということです。
ちなみに、この金利は過去最低の水準なのだとか。まあ、10年もの国債の金利がゼロに近い状態なので、致し方ない部分はありますけどね。
ただ、過去最低の金利がずっと適用され続けるとなれば、有利な運用先と言えないのは確実でしょう。個人年金保険よりはマシという程度の話です。
国民年金基金の地域型の合併を検討
さて、この国民年金基金には地域型と職能型という2つのタイプがあります。このうち地域型は、都道府県単位で設置されています。
この地域型で合併しようという案が浮上しているようです。時事通信の記事を読んでも詳しいことは分からないのですが、一つの大きな基金にしようということのようですね。1
そもそも、都道府県ごとに分けるメリットって、あまり無いんですよね。むしろ、都道府県をまたいで引越しをしたときに、面倒な手続きがはっせいするというデメリットがあるくらいです。資格喪失手続きをしてから、移転先で加入しなおす必要があるのです。
こんなばかげた仕組みですから、当然もっと早く改めておくべきだったわけです。率直に言っていまさらという感じはしますが、やらないよりはずっとマシだと思います。
ちなみに、個人的には、国民年金に入るくらいなら確定拠出年金(個人型)をお勧めします。理由はサイト内で詳しく説明しているので、興味がある人はチェックしてみてください。
2018年11月追記:合併話は進んでいるようです
2016年7月の段階では、合併に向けた話し合いが始まったという程度の報道でした。その後の進展を確認してみましょう。
この合併話ですが、どうやら、本決まりになっているようです。国民年金基金のサイトを漁っていたら、次のような記述を見つけました。
9月19日から24日にかけて、関係各基金において合併に関する議決が行われ、10月5日に合併契約が締結されました。
合併して、「全国国民年金基金」という名称で再スタートするようです。
リンク先のpdf ファイル(平成29年9月25日付)によると、平成29年10月5日に締結されて、合併予定日は平成31年4月1日ということのようですね。ちなみに、正式決定には、厚生労働大臣の認可が必要なようですね。
すでに契約している人には、特別な手続きはありません。また、契約内容の変更なども発生しません。単純に、名前が「全国国民年金基金」となるというだけです。
ちなみに、上で紹介したニュースでは、地域型のみの合併という報道でした。しかし、職能型まで含めて一つになるということみたいですね。
まあ、もともと、いくつも基金を作っていたメリットが良くわかりませんでしたからね。合併するのは自然なことと言っていいでしょう。
合併のメリット
同サイトによると、合併のメリットは次のようなものだそうです。
■ 加入員や受給者の皆様の利便性の向上
現在、都道府県を越えた住所移転や職業変更を行うたびに必要であった脱退・加入手続等が住所変更届だけで済むなど、手続きが大幅に簡素化され、加入員や受給者の利便性を高めます。
地域型だと引っ越しをすると脱退して加入し直すという手続きが必要でした。また、職能型だと転職して違う仕事を始めたら、地域型に入り直す必要がありました。
そういうデメリットが無くなるということですね。でも、利用者にこんな不利益があるなら、「最初から細かく分けるなよ」って話だと思わずにはいられません。
■ 事業運営基盤の強化
各国民年金基金が合併し、規模を大きくすることにより運営の基盤が安定し、地域の人口変動、少子高齢化や産業構造の変化など、国民年金基金を取り巻く経済社会環境の変化にも余裕をもって対応することができるようになります。
■ 事業運営の効率化
合併することにより、各国民年金基金が別々に行っている事務を集約したり、加入勧奨を統一的な戦略で全国展開するなど、業務を効率的に行います。
規模が大きいほうが、基金としては安定した運営ができるという理屈です。まあ、これも当然ですね。
特に、iDeCo と金融緩和のおかげで、国民年金基金の加入者は減っているでしょうから。
実際の数字を調べてみたところ、平成15年度末が一番加入者が多くて789,178人でした。それが、平成29年度末には374,664人まで減っています。文字通り、半減してるわけです。
新規加入者数に至っては、平成29年度には22,810人しかいませんでした。これはピーク時の2割ほどの数字です。
そもそも多くの基金を作った理由がよく分からん
率直に言って、この程度の規模だと、数十の基金に若手いたほうが無理があったわけです。そもそも、何で、地域型とか職能型と言った具合に細分化したのでしょうか。
率直に言って、厚生労働省の役人の天下り先として作られたのでは無いでしょうか。意味のない基金を量産する理由は、このくらいしか考えつかないんですよね。
まあ、あくまで憶測ですけど。そんなに外れていないのではないかと思っています。
- 国民年金基金、合併検討=19年4月―利便性を向上
時事通信 2016年7月5日 [↩]
iDeCoでは金融機関選びが大事
iDeCo をはじめるには、運営管理機関を選ぶ必要があります。運営管理機関というのは、窓口となる金融機関の事ですね。
この運営管理機関選びが、実は、かなり大事です。というのも、金融機関によって月々の手数料がだいぶ違いますし、取り扱っている投資信託の種類も違うからです。
個人的にお勧めなのは、SBI証券です。SBI証券は月々の手数料が167円と最低ですし、運用に使える投資信託もかなり多いのです。
iDeCo に興味があれば、資料請求だけでも取り寄せてみたらいかがでしょう。まとまった情報が得られますよ。

スポンサードリンク
スポンサードリンク
タグ: 国民年金基金,地域型





関連した記事を読む
- 厚生年金は公的年金、厚生年金基金は私的年金| 何てややこしいんだ!
- 74の厚生年金基金が特例解散?要するにおとり潰しにされそうですね
- 総合型の年金基金の行き詰まりという視点は面白いね
- 厚生年金基金の運用者はほとんどが素人 大金を動かしているという意識が乏しいのでしょうか?
- 年金制度が複雑な証拠なのでしょう| 厚生年金基金廃止議論にまつわる庶民の誤解