厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の年金部会というところが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革に関する議論をしていました。ただ、結論をまとめることができず、3つの意見を報告する形になるようです。1
ちなみに、3つの意見と言うのは、具体的に次のようなものだそうです。
- 株式直接投資の全面解禁に賛成
- 指数連動型に限定する直接投資の部分的解禁
- 一切の直接投資解禁に反対
1番目はいわゆるアクティブ運用2 までを認めるという意見のようです。そして2番目は、自前のETF を作る3 という意味でしょうかね。
ここまで図体がでかい機関投資家が直接投資なんてできるのか?
率直に言って、1番目の選択肢は、検討する価値があるのかすら疑問です。というのも、規模が大きい基金がアクティブ運用をしても、いいパフォーマンスは望みにくいというのが一般的な考え方だからです。
そもそも規模が大きい基金は、小型株は買いづらいことが多いです。なぜかというと、小型株は変える株数が限られるので、値上がりしたところでポートフォリオへの影響は限定的だからです。
となると、大型株を買うしかなくなるのですが、そうなると株式指数と大きく乖離するポートフォリオは組みにくくなるわけです。つまり、人件費を払ってファンドマネージャーを雇い、市場平均程度のパフォーマンスしか得られないわけですね。
ちょっと大き目の投資信託ですら、このような指摘をされるのです。GPIF くらいの規模になると、ますますその傾向は強くなるでしょう。
そもそも、優秀と言われるファンドマネージャーを雇って直接投資をしたところで、パフォーマンスがよくなるものではありません。これも過去の投資信託のパフォーマンスを見れば、まず間違いないところでしょう。
アクティブ運用の投信のパフォーマンスの平均は、パッシブ運用の投信に負けています。それにもかかわらず直接投資をするとしたら、何か違う思惑を感じざるを得ません。
証券会社の思惑が強いのでは
はっきり言って、まったくのナンセンスだと思う直接投資でのアクティブ運用という案ですが、こうした意見が出てくるのはなぜなのでしょうか。
過去の社会保障審議会の年金部会の議事録を見てみましたが、1番目の案に関しては、完全に反対が多いようでした。上に書いたように、直接投資をして市場平均を超えるようなパフォーマンスを目指すのは難しいという意見が多かったようです。
それにもかかわらず、3つの意見を併記する形で提出されたわけです。これは、かなり違和感を覚えます。
最近の議事録はまだ公開されていないので詳細はわかりませんが、どうも、一部の委員が強硬なアクティブ運用容認派だったようですね。その人が誰かわかれば、3案併記になった理由もわかりそうです。
- 株式直接投資、与党が判断へ=年金部会は各論併記―GPIF改革
時事通信 2016年2月7日 [↩] - 個別の株式や債券を自ら選んで運用するスタイル [↩]
- 日経平均などの市場平均に連動する運用をするスタイル [↩]
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タグ: GPIF, アクティブ運用, パッシブ運用, 直接投資





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