国民年金の上乗せの仕組みの一つに、付加年金という制度があります。これは月々400円払うと老齢基礎年金(国民年金の老齢年金)の給付に上乗せがあるのです。非常にお手軽な仕組みなので、利用できる人は積極的に利用しましょう。
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付加年金の概要
付加年金は国民年金の給付に上乗せをする仕組みです。その仕組みは単純明快です。
まず、毎月の国民年金の保険料に400円をプラスします。この追加の保険料を付加保険料と言います。
そうすると、老後に年金を受け取る時に、「200円×支払った月数」分の年金を上乗せしてもらえます。年金で上乗せというのは、年額が増えるという事ですね。
たったこれだけです。
具体例を挙げてみましょう
こういうのは、具体例を挙げた方が分かりやすいでしょう。
例えば、Aさんは、20年間付加保険料を払い続けたとします。20年ということは、月数に直すと240ヶ月です。つまり、9万6000円(400円×240)保険料を払うわけですね。
この結果、Aさんが老後に受け取る年金の額は毎年4万8000円(=200円×240)増えることになります。たったこれだけです。
物価の変動だとか、経済情勢だとか、難しいことは全く関係ありません。非常にシンプルな仕組みなのです。
2年受給できれば元が取れる
上の説明からわかるように、付加保険は、払った付加保険料の合計の半分を毎年受け取れる仕組みです。つまり、2年受給できれば元が取れてしまうのです。
現在の年金制度だと、65歳から老齢年金の受給が始まります。ということは、67歳まで生きれば、それだけで元が取れることになります。
実際にはインフレなども考慮しないといけないので、そこまで単純な話ではありませんけどね。年金の受給開始年齢が、今後遅くなる可能性も大きいですし。
まあ、割と簡単に元が取れる私たちにとって良い制度だとは思います。
はっきりって、微々たるものですけどね
上の説明からもわかるように、もらえる付加年金を増やすには、少しでも早く付加年金に入る必要があります。保険料を支払った月数が大きい方が、将来の年金も増えますから当然ですね。
ですから、加入がまだの人は、早めに手続きをしましょう。
と言っても、上の計算からわかるように、もらえる金額は微々たる物です。20歳から60歳までの40年間払い続けても、年間9万6000円にしかなりません。
一ヶ月につき、たった8,000円の上積みです。根本的な老後対策としては、残念ながらそれほど役にはたちません。
有利な制度ですから、ぜひ利用していただきたいですけどね。それでも、残念ながら、ちょっとしたお小遣い程度の給付額の増加にしかならないわけですね。
どんな人が保険料を納付できるのか
付加保険料で注意が必要なのは、利用できる人が限られるという点です。
付加保険料を納めるには、すなわち、付加年金を将来もらうには、一定の条件があります。それは、次の条件のいづれかを満たすことです。
- 国民年金第1号被保険者
- 任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)
実は、この2つのケースに該当する人しか付加年金はもらえないのです。逆に言うと、短い期間でもこの状態にあれば、付加年金を貰える可能性もあります。その時期に保険料を払っていればの話ですが。
ちょっと補足していきましょう。
国民年金第1号被保険者とは
国民年金第1号被保険者というのは、主に個人事業主やフリーターなどが該当します。すごく簡単に言ってしまうと、60歳未満で自分で保険料を払っている人は国民年金の第1号被保険者に該当します。
もうちょっと正確に言うと、第2号被保険者と第3号被保険者以外の人が、第1号被保険者と定義されています。そして、第2号被保険者というのは、厚生年金や共済年金を支払う人、要するにサラリーマンです。第3号被保険者というのは、第2号被保険者の配偶者で、自分では稼ぎが無い(年収130万円未満)人です。
第1号被保険者なので、自営業者、フリーター、無職、学生などが該当することになるわけですね。まあ、第1号被保険者に関しては、なんとなく知っている人も多いでしょう。
任意加入被保険者とは
マニアックなのがもう一つの任意加入被保険者の方です。任意加入被保険者というのは、60歳を過ぎても国民年金の保険料を納めている人の事です。
何でそんな事をするかというと、どこかで保険料を払っていない期間があって、60歳まで保険料を払っても満額の老齢基礎年金がもらえないからです。少しでももらえる年金の額を増やすために60歳以降も保険料を払うわけですね。
実は任意加入被保険者は、最長で70歳まで加入できますが、65歳以降は受給資格を満たしていない人に限られます。つまり、老齢基礎年金を全くもらえない人に限り、70歳まで延長しているという形だと理解すると良いでしょう。
そして、付加保険料の納付ができるのは、65歳までの任意加入被保険者に限られるというわけですね。
ちょっとごちゃごちゃしていますが、ご理解いただけたでしょうか。まあ、第1号被保険者だけ分かっておけば、通常は大丈夫だと思います。
申し込み先
市区役所及び町村役場の窓口だそうです。知らなかった。
付加保険料を納付するときの注意点
最後に、付加保険料を納付するときの注意点です。
いつから納付できる
まず、付加保険料は、申し込んだ月分から納付することになります。結構、レスポンスが良いんですね。
納期限は
そして、納期限ですが、翌月末日となっています。○年の10月分だとしたら、○年の11月末が納期限という事ですね。一応は。
一応と書いたのは、実は、期限から2年間は付加保険料を納付できるからです。つまり2年プラス1か月先まで納付できるという事です。
ちょっと意味が分かりませんね。私も書いていてよく分かりません。でも、日本年金機構のサイトに準じて説明しています。
こんなふうなややこしいルールになっているのは、最初は納期限の延長は無かったからでしょう。昔勉強した時には、2年の猶予なんてありませんでしたから。
それが、あとから緩和措置が出来たので、こんなふうな変な形になっているのです。
ちょっと調べたところ、平成26年4月1日からのルールらしいですね。最近の制度変更です。
付加保険料の納付を止めるには
付加保険料の納付を止めるには、「付加保険料納付辞退申出書」という書類を出さないといけないようです。まあ、役所に行って聞いてみてください。ベテランの人が要ればすぐ処理してくれるはずです。
細かい手続きなので、若手の人だと戸惑いそうな気もしなくはありません。
国民年金基金の加入者は納付できない
次は重要な注意点ですが、国民年金基金の加入者は、付加保険料を払えません。つまり、国民年金基金と付加年金は同時には利用できないのです。
一応断っておきますが、「国民年金基金」と「国民年金」は完全に別物です。名前が似ているので、混乱する人が多いようです。
国民年金基金というのは、国民年金の上乗せになる年金の事です。なじみがある制度との比較でいうと、確定拠出年金の親戚みたいな仕組みだと思えば良いでしょう。
確定拠出年金だと運用によって年金額が変わりますが、国民年金基金は確定給付です。こういう違いはありますが、国民年金の上乗せという意味では共通しています。自分で掛け金を払うという意味では、確定拠出年金(個人型)とより近いかな。
確定拠出年金(個人型)の加入者は付加保険料が納付できます
ところで、国民年金基金の加入者は付加保険に入れませんが、確定拠出年金(個人型)の被保険者は付加保険に入ることが出来ます。つまり、付加保険料の納付ができるわけですね。
というこてとは、公的年金の受給額を目いっぱい大きくしようと思えば、確定拠出年金に入って掛け金を上限にした上で付加保険料も納付するようにしたらいいわけです。実際、こうしている人も多いはずですよ。
iDeCoでは金融機関選びが大事
iDeCo をはじめるには、運営管理機関を選ぶ必要があります。運営管理機関というのは、窓口となる金融機関の事ですね。
この運営管理機関選びが、実は、かなり大事です。というのも、金融機関によって月々の手数料がだいぶ違いますし、取り扱っている投資信託の種類も違うからです。
個人的にお勧めなのは、SBI証券です。SBI証券は月々の手数料が167円と最低ですし、運用に使える投資信託もかなり多いのです。
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タグ: 400円, 上乗せ, 付加保険料, 元を取る, 給付





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